『ペリー艦隊日本遠征記』には“サム・パッチ”という名前で呼ばれていた一人の日本人水兵が乗艦していたことが記されている。本名は仙太郎といい、志摩半島沖合で暴風雨に遭い、漂流船となった「栄力丸」の水夫であった。約一月半の漂流の後、「栄力丸」の乗組員全員が米国捕鯨船に救助され、アメリカ本土へ渡った。その後、数多くの苦難を乗り越え、船頭の万蔵を除く全員が日本への帰国を果たしたが、黒船に乗り込んだ仙太郎だけはアメリカへ戻って行った。
仙太郎は何故帰国を断念したのか、黒船の甲板上で不可解な行動を取ったのは何故か、その後の意外な活躍を含め、彼の行動が日米外交交渉に与えた影響についての考察結果を共有し、逆境を生き抜く知恵を読み解く。
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